Lost Technology

レトロPC、レトロゲーム、チップチューン等の主に技術的な雑記

YM2420の解析結果

YM2420は、YAMAHAのポータブルキーボードPSS-140、ショルキーSHS-10、SHS-200に搭載されていたFM音源チップである。
機能・性能・パッケージ・ピンアウト共に、YM2413(OPLL)と同等と思われていたが、PSS-140のYM2420をYM2413に交換してもまともに鳴らないことが明らかになっていた。(参考:レトロ鍵盤 YAMAHA PSS-140をレストアして音源を換えてみた)
リンク先で実験動画を視聴した時点では、「F-numberの指定が違う。F-numberのbit幅がOPL等と同じ10bitなのではないか」と予想していた。
というわけで、前に作ったサウンドオーケストラ改造OPM&OPLLボードにYM2420を載せて実際にOPLLとの違いを調べてみた。
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当初、レジスタ10Hで音程が大きく変わり、レジスタ20Hで小さく変わることから、OPM系と同様のKeyCode/KeyFractionでの指定を疑ったが、それにしてはFranctionのbit幅が狭いし、KeyCodeもなんだか平均律とはずれていたので、もしやと思ってF-NumberのLSB/MSBをひっくり返して与えたところあっけなく鳴ってしまった。
その他のレジスタはOPLLと全く同じ、プリセット音色もOPLLと全く同じ*1で、個人的にはあんまり面白い結果ではなかった。
YM2420やYM2164のような「YAMAHAが外販してる音源LSIと機能的に同等だけどちょっとだけ制御が違うシリーズ」は、自社の楽器に搭載した際にリバースエンジニアリングやデッドコピーを避けるためのカスタマイズだと思ってたんだが、そうだとするとちょっとヌルいというかチョロいのでそういうわけでもないのかも知れん。
というわけで、98用マルチ音源ドライバの対応音源にYM2420が追加されたのであった*2

*1:俺の耳では。ちょっと加齢性難聴出てきてるが

*2:とはいえ、俺も含めて使う奴がいるとは思えんが。