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Lost Technology

レトロPC、レトロゲーム、チップチューン等の主に技術的な雑記

MSX互換機の世界(その4):未知のMSXturboRが発見される(2015/11/13追記)

前回の更新からまる1年経過してしまったが、ここ最近MSX界隈を賑わす発見がいくつかあったので取り急ぎまとめ。
第4弾のサブタイは「MSXベースの特定用途向け情報機器」とでもしておこうかしらん。

NTTキャプテンマルチステーション

weekly.ascii.jp

まずは前フリ。上のページの中ほどにある、キャプテンマルチステーション。
普通にMSXマークもついていて当時からMSXマガジンでも紹介されていたので、弾数は少ないもののそれなりに知られていたと思われる。
週アスの記事に書いてある、「NTT、アスキー、高岳製作所による共同開発」というところに注目。
通常のMSXから拡張されている機能としては、電話回線に接続するための内蔵モデム(当然)、ダウンロードしたアプリ等を保存するICカード*1インターフェース、補助入力装置*2用インターフェース、ワイヤレスリモコンインターフェース等がある。
実機の画像をよく見ると、キーボードが日立MB-H50と同じものであることがわかる。*3

AUCNET NIA-2001

www.youtube.com
さて、こちらが今回の本命。
AUCNETというオークション運営会社が1989年にサービスを開始した「中古車衛星TVオークション」用の端末で、衛星から降ってきた映像を見ながら遠隔地の出品物に入札することができたらしい*4
上記の映像を見るとわかるように、ほぼMSX turboRと互換性があるように見える。
所有者からの情報によれば、ハードウェアの構成はほぼA1STと同等、ただし、FDDとPCMは非搭載とのこと。
動画では三菱ML-G30のキーボードが接続されているが、これはたまたま互換性があったものを所有者が接続したもの。
MSX-MODEM準拠の内蔵モデムで取引情報の通信、MSX-SERIAL準拠のRS-232Cインターフェースで衛星受信機の制御をしていると思われる。
衛星受信機で受信した画像と端末の画面を合成するためのスーパーインポーズ機能も備える*5
背面にあるCPU切替スイッチは、起動時のデフォルトCPUを指定するもので、純正turbo Rと同様のソフトウェアによる切り替え機能はそのまま動作する。

AUCNETの関連会社である日本ビジネステレビジョンがこの衛星オークションシステムのインフラ開発・整備を担当していたと思われ、当機の銘板にも日本ビジネステレビジョンの名前がある
内部の基板には高岳製作所のシルクが打ってあるので、前項のキャプテンマルチステーションと同様、日本ビジネステレビジョン・アスキー・高岳製作所の3社による共同開発である可能性が高い。
当機はAUCNETのオークションサービスに参加するための専用端末であり、また同サービスでは端末はすべてレンタルだったので、システムの更新とともにほとんどが回収されたとみられる。そのため、他の個体が現存する可能性は低い。
なお、所有者は「日本のヤフオクで安く落とした」とのことで、日本のコレクターの目はフシアナだったと言わざるを得ない。
なにしろ21世紀にもなってMSX turboRの新機種が見つかったということで、海外のMSXコミュニティではそれなりに騒ぎになっている模様*6

2015/11/13追記:

所有者が内部の写真を共有している。
MSX-DOS/DOS2カーネルは内蔵していないと思われる。本来DOSカーネルがあるべきスロットにMSX-MODEMかMSX-SERIALが割り当てられているのだろうか。ROM吸い出しが待たれる。
思ったほど集積度は高くなく、アスキーチップセット以外はPALや標準ロジックで構成されているのは小ロット故か。しかし、uPD71051*72個とMB89371*8が両方載ってるとか、ちょっと普通には考えられないような無駄*9なんだけど、有り物の設計を流用してくっつけたのか、何か意図があって冗長性*10をもたせてるのかいまいち不明。
さらに続報があれば随時追記していきたい。

*1:JEIDA仕様のSRAMカード

*2:タブレットバーコードリーダ等が用意されていた。1990年頃、キャプテンマルチステーション用のバーコードリーダーが秋葉原一帯のジャンク屋に大量放出されたことがある。学校を通して研究用ということでNTTからプロトコル仕様書を取り寄せ、これを使ってバーコードバトラーもどきを作ったのはいい思い出。

*3:これも前フリ

*4:ちなみに、この前の世代のTVオークション端末は、定期的に配送される出品車の映像を記録したLDを見ながら、電話回線に接続した端末で取引を行う。この端末もPX-7のようなパイオニア製LDプレーヤとのインターフェースを持ったMSXベースのマシンと思われる。

*5:V9958のスーパーインポーズ機能の実際の利用例としても極めてレア。

*6:日本ではMSXコミュニティがほぼ壊滅状態なので、一部のおっさんが各々裸踊りをたしなんでいる程度か。

*7:8251相当UARTが1ch

*8:8251相当のUARTが2ch

*9:ていうかUARTの数合わないような…モデムとRS-232Cの他に何使ってるんだろう?

*10:人工衛星宇宙機では、同一の基板上で等価な別デバイスを両方載せて冗長化することは無くはないけど…